イタリア北部とトスカーナの旅 その16: イタリアワイン入門

その16: イタリアワイン入門

私は、1979年から1981年までのちょうど2年間をカリフォルニアのサンノゼとサンタクララで暮らした経験がある。そのとき、近くにはナパバレーがあり、そこで初めてカリフォルニアワインに出くわした。それまでは、呑み助な私だったが、ワインというものについて全然知識がなかったのである。そのとき、ワインとはこんなものなんだという程度の知識でしかなかった。

その後、1990年にオーストラリアに移住のような形でやってきて、最初はゴールドコーストに居を構え日本食・焼肉のレストラン支配人になった。ここで初めて豪州ワインの存在を知ることになったのだ。というのも、レストランではビールを初めとして、各種のアルコール類を販売することになったからである。否が応でも、ワインを在庫しなければならなくなった。そこで少しずつではあるが、豪州ワインの研究を始めたのである。

実際、本格的にやりだしたのは、オーストラリア国内で再び移動して、現在居住するシドニーに住居を構えることになってからである。その理由は、シドニーから北方に数時間、車を走らせると、豪州でも有数なワインの生産地であるハンターバレーがあり、年に数回は訪問する機会が訪れたからである。このワインを自分で研究し始めたところ、その奥深さに魅せられてしまった。結果、豪州各地のワインの産地を数年間かけて自分の足で歩くことになったのである。それらをまとめて、豪州ワインの紹介本も執筆している。

ところが、今度は世界のワインということに話をもってくると、まったくずぶの素人であることに気が付いて、私は世界規模のワインについては何も知らないことを認識するに至ったのである。

今回、イタリア中部のトスカーナ地方を巡回することになったのだが、ここがイタリアでも有数のワインの産地であることは、行ってみるまでは皆目知らなかった。また、世界の統計をみてみると、何とイタリアが、世界一の生産量を誇るワインの産地であることを知って、またまた驚いてしまった。
世の中は、まさに知らないことだらけである。

2006年の統計では、ワインの原材料になるぶどうの生産量は、つぎのようになっている。

1位: イタリア (862万トン)
2位: フランス (678万トン)
3位: 米国 (633万トン)
4位: スペイン (593万トン)
5位: 中国 (560万トン)

日本では、フランスワインが有名だから、当然、フランスがワインでも1位だと勝手に思い込んでいたのだが、実は、世界のトップにイタリアが鎮座しているのだ。そのぶどうができるところをヴィンヤード (vineyard) と英語では表現している。
日当たりのよい、丘陵の斜面が適している。それは、水はけがよいためと、満遍なく太陽光線があたるように工夫がなされているためだ。

この写真のように広々と広がっている。樹と樹の間にはかなりの空間があけてあるのは、収穫時にトラクターなどの車が容易に通行ができるよう設計されているからである。

ヴィンヤード (vineyard)

ヴィンヤード (vineyard)

赤ワインは、ぶどうの皮が巨峰のような黒っぽい色をしているぶどうから造られ、白ワインは、その皮の色が緑色をしたぶどうを使って造られている。
実際に私はワイン用のぶどうの収穫を何年にも渡って豪州で実地に体験したが、ワインに利用されるぶどうの実は、ものすごく小さいのだ。だから、いわゆる生食に適していない。粒が小さすぎて食べるのには不便なため、ワインに使われ、結局、それらがワインの原料として選定されてきたのである。

赤ワイン用のぶどうは、その中にタンニンといわれる渋みを入れるために、わざと皮ごとジュースが取られるが、白ワインは、皮をむかれて実から搾什されてから発酵工程に移っていく。そのため、赤ワインにはダークな色の液体になるのに比して、白ワインは透き通った透明な液体に変化するのである。

ワインの生産の歴史を紐解いてみると、イタリアには、ワインの製法は南のギリシアから伝達されたと言われている。特に、マフィアで有名なシチリア島やイタリア南部がその発祥の地であると考えられている。それが、南から北に上昇していき、中部でも生産が開始された。特にローマ帝国がその権勢を誇るようになると、植民地にした総ての土地でワインを製造させたために、ますますワインが拡大することになった。

また、中世にはカール大帝が修道院にワインの製造を託すようになった。その理由は、キリスト教のミサでは、パンをキリストの肉、赤ワインを血として象徴的に表現し、それを食する儀式があるため、ワインはキリスト教にとってはなくてはならないものであったからだ。

ワイン製造の場所をワイナリーと呼んでいるが、トスカーナ地方のあるワイナリーを訪問した。



ワインの生産では、1位のイタリアと2位のフランスを合計すると世界の40%を占めている。イタリアでは、赤ワインが65%製造されて、白が残りの35%という比率である。一人当たりの消費量を比べてみると、イタリア人が年間に60リットルを飲むのに対して、日本人はたった2~3リットルである。まだまだ、ワインは日本ではメジャーではない。

ワインを造るには特別なぶどうの種類がある。その数、300種類と言われているから、それを覚えるだけでも、大変な労力になる。
特に有名なのは、赤では、サンジョヴェーゼ、バルベーラ、カルベネ・ソーヴィニオン、メルローなどで、白では、トレビアーノ、ヴェルディッキオ、マルヴァーシア、シャルドネ、ピノグリージオなどである。以前も述べたが、赤をロッソ、白をビアンコと呼んでいる。



イタリアワインの品質分類は次のようになっている。
  1. ヴィーノ・ダ・ターヴォーラ(Vino da Tavola) - フランスのテーブルワインに準ずるもの。約80%がこれにあたる。
  2. 指定地域優良ワイン
    1. 原産地統制名称ワイン (DOC) - ぶどうの品種、最大収穫量、醸造法などに関する規定にかなったもののみを、このように呼んでいる。
    2. 保証付原産地統制名称ワイン (DOCG) - DOCの中でさらに厳しい規定を満たし、国の製品検査に合格したもの。


また、地域で分類してみると、次のような特長がある。
  • 北部: フランス的なワイン
  • 中部: ローマ時代の伝統品種のローマ的なワイン
  • 南部: シチリアやサルディニアの南部ワイン

これらは、イタリアワインの門の前の情報にすぎない。とにかく、奥は深い!

(つづく)

| 旅::イタリア(2009年) |
| 11:30 PM | comments (2) |

コメント

私はお酒は一切飲まない人なのですが、
カナダで旅行中、ワインの産地をとおり、
知人と一緒にワイン工場を見学しにいったのですが、
外で栽培していたのはぶどうの木々だったのに対し、
割と新しい工場だったせいで、ぶどうのワインはまだ作っておらず、
中で売っていたのはさまざまな果実で作ったワインで、見当ハズレなことを経験したことがあります。

Long | 2009.07.30 09:57 PM |

>> Long さん
今回、私が廻ったイタリア北部とトスカーナ地方は、イタリアでも有数のワインの産地です。ということは、世界的規模で考えても有数なワインの産地ということになりますね。
すばらしい風景の中に、数々のワイナリーが点在します。そんな場所を訪れるだけでも、ゆったりとした気持ちになります。
飲めなくても、ワインテースティングだけでもやってみると、興味はつきないですよ。

ジーン中園 | 2009.08.06 09:11 PM |

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