ウィズダム 一期一会

その昔、日本マクドナルドに竹中義男運営本部顧問という方がいました。
私が、1979年から81年までの二年間の米国研修からハンバーガー大学に戻ると、その方が、顧問席に座っていました。

毎日、ぽつりぽつりと、静かに言葉を発せられます。最初は、何気なく聞いていました。
そのうち「いや~、これはものすごいことを言っている!」と気付いたのです。

そこで、私が竹中語録と称して、語り聴きをメモにしました。

  1. リーダーの自己管理
  2. 部下の人間管理
  3. 上司としての叱り方
  4. 部下としての叱られ方
  5. 日本人と外国人

部下の人間管理

  1. 部下に自分の立場と方針を理解させる。
  2. 共通の義務と責任を持っているという同志感を育てる。
  3. 失敗に適切に対応する。
  4. 人間は十人十色と思って部下に接する。
  5. 部下も欲望を持っていることを常に念頭におく。
  6. 部下の人生は、上司に大きく依存しているという責任感をもつ。
  7. 人間は、ある程度、感情の動物であることを知る。
  8. 部下の毎日の幸福感の配給者は上司である。
  9. 人間的いやらしさは誰にでもあるものである。

1. 部下に自分の立場と方針を理解させる。

  • 上に向かって部下の利益を、下に向かって経営を代表すること。
  • 部下の行為についても責任を負うこと。
  • 部下の育成と部下を公平に扱うことを努力する。
  • 良いことはほめ、悪いことは率直に注意する。
  • 方針は、上司の重点項目を具体化したもの、仕事の指導精神、特に重視するきまりなどで一貫性のあるものにする。

2. 共通の義務と責任を持っているという同志感を育てる。

  • 共同の目標をよく理解するために話し合う。
  • 目標達成の方法について意見を合わせる。
  • それぞれの役割りをお互いに理解させる。
  • 責任を果たすためには、上下は相互依存の関係にあることを理解させる。
  • 同じビジネスマンとして、共に向上を望んでいる同志感を認め合わせる。
  • 上記のすべての項目はいずれも、命令、押しつけはダメ。

3. 失敗に適切に対応する。

  • 敗け戦(いくさ)でたちなおり、団結と士気を維持し、戦線を整理し、再挑戦する場面で指揮官の真価がわかる。
  • 部下の失敗は自分の責任と考え、責任逃れをしない。上司に向かって部下を防護する。
  • 組織の目的と、部下の再挑戦の気力、の二つをそこなわない処置をとる。
  • 失敗の理由を軽く決めつけないで、一緒に考える。方法、時期、場所、手段、組み合わせ、優先順位、重点の不適切、協力体勢の不備、基礎知識や技能不足、命令の不適切、仕事のルール違反、チェックの手抜き、連絡不十分、独断の行き過ぎ、不注意や怠慢、疲労、体調や情緒の不安定、つい魔がさして、計画的故意、などが原因として考えられる。
  • 再発防止と再挑戦の目標と方法を相談して決める。

4. 人間は十人十色と思って部下に接する。

  • わが組織は、価値観、思考、性格まで同じ画一人間で構成されているべきだとか、自分と同じ型でなければならないなどと考えない。
  • 話し合う機会をつくって個性を知る。長所は短所の表裏と考える。
  • 能力に合わせてトレーニングの進度を決め、仕事をまかせる。
  • 部下の人生観、職業観、信条を組織の目標にちかづけるように指導する。
  • 性質と性格に合わせて仕事の割り当て、指示の仕方、チェックの仕方、ほめ方、叱り方を考える。

性質と性格は下記のとおり。

性質(感情の起こり方)
情熱的理性的
陰気陽気
冷静(淡)感激屋
素直強情
短気のんびり屋
ざっくばらん内向的
執念深い淡白
意志が強い飽きっぽい
愛情深い冷酷
感受性強い鈍感
性格(行動の仕方)
寡黙饒舌
機敏鈍重
控え目積極的
慎重果敢
緻密粗雑
数理的感覚的
協調的独善(利己)的
理論的情緒的
計画的/整理的実働的
軽薄重厚

5. 部下も欲望を持っていることを常に念頭におく。

  • 部下の欲と夢を育て、これが組織の中の具体的な目標と結びつくように相談にのる。
  • 努力すれば実現できるような程度の目標を、3~5年後に画くように忠告したり、説得したりする。
  • 部下はいつも認められたい、優越したいという欲求をもっていることを配慮する。
  • 部下の内心の欲求を無視して教えても、叱っても効果がないことを知る。部下のライバルの情報を知らせるだけの方が、効果があることもある。
  • 欲求不満を早く知るために話し合い、不満解決に努める。

6. 部下の人生は、上司に大きく依存しているという責任感をもつ。

  • 部下の職業上の昇進、人間的成長は良い上司に恵まれるかどうかにかかっている。今日、今月だけの業績だけに眼を奪われず、20年後に「わが人生の曲がり角にあの人がいた」と思い出させる上司を心掛ける。
  • 厳しい教育や指導は、部下個人のためでもあることを理解させるように行う。
  • 部下の評価、査定、人事具申をなおざりにすることは、背信行為である。
  • 業績は各面からみる。数値化されない部面、努力、能力の向上、成功と失敗、勤務状態などを各項目にわけてみつめる。また、自分の個人的な好みや感情を殺した冷静さと公平さがあるかいつも反省する。
  • 部下の評価、査定、人事具申を正しく上司に伝え、納得してもらうために努力する。

7. 人間は、ある程度、感情の動物であることを知る。

  • 部下は信頼されているとか、上司は自分の保護者であると感じた時には、これに応えようと努力する。
  • 実績、努力、能力が認められた時に部下の意欲が高まる。まかされず、途中で干渉され、自分の仕事をとりあげられると、部下はやる気をなくす。
  • 上司の方で気が合わないという感情を持てば、これは10倍となって部下に伝わる。
  • 恥をかかされたり、馬鹿にされたり、隠したがっている事を無神経にあばかれると、部下は恨む。
  • 転勤、転職のときはセンシティブになっている。この時に、上司として、人間として、立派に振舞えるかどうかは重大である。この時のことはいつまでも覚えているものである。
  • 事前に知らせる。
  • 業績、能力、努力などを誉める。
  • 同志として別れることに人間的苦痛と共感を持つ。
  • 将来の目標を話し合う。
  • 新しい仕事のため紹介、助言、便宜を与えるなどの心遣いをする。

8. 部下の毎日の幸福感の配給者は上司である。

  • 上下、同僚が自由に話ができる雰囲気をつくるのは上司の責任である。また、部下の人望を高めるように言動する。
  • 部下のやっていることを、いつも新鮮な眼でみる努力をして、ささやかなものでも実績、努力、能力などの向上を認めていることを伝える。
  • チェックリストは非難の道具として使うよりも、ほめ合う道具として使えば有効である。
  • ホメルことをケチらない。部下がお互いにホメ合う気風を育てる。ただし、気嫌とり、甘やかしに流れない。
  • 会うたびに、さわやかで、業務上でも人間的に教えられ、自分の努力や進歩を認めてくれる上司は、幸福の配給者である。

9. 人間的いやらしさは誰にでもあるものである。

  • 過度に利己的なものは嫌らしいが、向上の原動力でもあると考えておだやかに導く。心で軽蔑して何も言わず、闇討ちをするようだと組織は乱れる。
  • ウソを言う動物は人間だけである。事の性質、大小によって対応し、あまり小さなウソにまで糾弾して逃げ場がないように追い込むのは人間的でない。
  • 失敗することよりも、責任のがれをすることの方が醜いという観念を広めない組織はつぶれる。
  • 思い違いや誤りをほおかぶりしないで、部下に率直にあやまる。
  • 部下の能力、実績、人間性にしっとするようでは、部下より小物である。

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