世界一蹴の旅

2005年8月19日から9月18日までの31日間にもおよぶ世界一蹴(一周)旅行で体験したこと、感じたことなど、7回に分けて語っています。

  1. アル・マハラ報告
  2. フランス・パリ、ディナーショー3晩連荘
  3. ロンドングルメ三昧
  4. しっかり仕事もやってました!工場訪問!
  5. ビッグマックは世界指標のウソ!
  6. フランスでのバカンスの過ごし方
  7. 世界の食についての考察

その4 : しっかり仕事もやってました!工場訪問!

私は、現在、米国ゴールデン・ステート・フーズ(GSF)の子会社であるGSFオーストラリア社に勤務しております。この会社は、現在野菜中心に豪州国内のファーストフード(FF)を初め、スーパーマーケットチェーンにカット野菜などを供給する会社です。豪州国内の大手のFFチェーン店については現在90%のシェアを誇っております。

昨年5月、日本から14名、わざわざシドニーにやって来られることに決定しましたので、私がシドニーの旅をセットアップして、一週間に渡ってシドニーをご案内しました。その際、私の工場にもお越しいただきました。従って、ある会員の方には、既に私の会社とその工場を観ていただく機会があり、多大の質問をしていただきました。参加いただいた方々には、それなりに評価していただいたことは、大変嬉しいことでした。

今回、私が世界を廻る計画を立てましたので、この機会に他国の野菜工場にも観てこようと、次の3工場を訪問しました。そのご報告をいたしましょう!

米国:ダラス、テーラーファームズ
英国:ロンドン郊外、ナチュレス・ウェイ・フーズ
エジプト:カイロ、GSFエジプト

1. 米国 : テーラーファームズ

まず、最初は、ダラスの郊外にあるテーラーファームズを訪問しました。
このテーラーファームズ、実は、私の会社の株主でもあるので、いわば、親会社の支社を訪問してきたということになります。

テーラーファームズは、日本ではあまり知られてはおりませんが、米国ではかなり有名な野菜専門の大規模工場を米国内に8都市に所有しているのです。

今回はテキサスにあるダラス工場を訪問しましたが、これ以外に、本社はカリフォルニアに所在します。それ以外には、アリゾナ、コロラド、テネシー、ジョージア、フロリダ、メリーランドに位置しており、年間売上高は、5千万ドル(約600億円)を誇っております。

主力顧客は次のようになっています。

FF/レストラン

  • マクドナルド
  • ウェンディーズ
  • バーガーキング
  • サブウェイ
  • ドミノピザ
  • レッドロブスター
  • オレンジ・ガーデン

リテール(小売業)

  • アルバートソンズ
  • セーフウェイ
  • HEB
  • ハリス・ティーター
  • ウィン・ディクシー
  • サムズクラブ
  • ウォルマート

スーパーマーケットなどを廻ったときに、このテーラーファームズのロゴの付いた商品をかなりの場所で見かけることができました!

当然、その食品安全に対する取り組みは、上記の顧客満足を得るために最大限に考慮されており、品質管理システムは万全の体制をとっています。HACCPはもとより、GAP(グッド・アグリカルチャラル・プログラム)、GMP(グッド・マニュファクチュアリング・プラクティス)、バイオセキュリティ(バイオ安全システム)などが導入されて、完璧なまでに食品工程管理がなされているのです。

また、運送についても、総てのトラックは2年以内の新車のみを使用し、また、その運転手は、総て自社の従業員ですから、運搬についてもその商品についての運送責任を果たすことを確約しているのです。

また、全トラックについては、GPSシステムが搭載されているため、運搬車両が現在どこを走っているのかということまでも、各工場で把握できるというシステムが配備されて、運送コントロールを行っているのです!

当然、荷物の積載については、0.5度Cの温度管理がなされて、必ずこの温度でなければ、トラックへの積載は容認されないというシステムが確立されています。

また、原材料である野菜類は、契約農家からだけの納入ですから、いわゆるトレーサビリティについても、完璧なまでにシステムが完成されているのです。

野菜類は、カリフォルニア州では、サリーナス、ヒューロン、オクスナード、アリゾナではユマから納入されております。

従って、原料野菜に始まり、工場での生産、それを顧客に届ける運送業務にいたるまで、一貫した運送、製造、配送体制が完備され、顧客満足度を120%にまで上昇させているのが大きな特長といえましょう。

ということで、工場も2000年に建築されたばかりの新工場で、最新鋭の機械設備を使用しての製造をしておりました。

2. 英国 : ナチュレス・ウェイ・フーズ

次に訪問したのは、ロンドンです。 GSF社は、マクドナルドに納入しておりますので、全世界のマクドナルドの工場ともコミュニケーションが容易に取ることができるシステムが構築されております。英国マクドナルドにレタスや野菜サラダを納入している、この会社とは、電子メール上でいつもQAマネージャーと情報交換をしております。その関連で、今回、工場訪問をすることになりました。

会社名は、ナチュレス・ウェイ・フーズという企業です。

工場は、ロンドン市内から電車に揺られて約1時間半南西に走っていったところにチチェスターという街があります。近隣の大きな街では、歴史上有名なポーツマス条約のポーツマスがあります。ここは、イギリス海峡に面しており、温暖な気候からロンドンの野菜の供給場にあたるところで、工場はいわば農場のど真中に建てられているという感じです。

ただ、冬場はかなり寒くなり、ここからの供給は不可能になるため、海峡を渡ったスペインからその供給を受けて製造を継続しているのです。

FFでは、マクドナルドが20%の売上を占め、あとの80%はリテール関連のサラダパックを製造しているのです。マクドナルドでは、ビッグマック用のレタスの千切りと、サラダに必要なサラダミックスを提供しています。

ロンドン市内でレタスの入っているビッグマックを購入して試食してみましたが、そのレタスの品質はかなりよいものでした。

この工場でも食品安全に対する取り組みは、並々ならぬものがあり、特異な工場管理をしていましたので、御紹介してみましょう!

まず、野菜は、土の中で育ちますから、基本的にはいわば汚れているものです。
ところが、それを工場内に入れますと、工場が農場から運ばれた土などで汚染される畏れがあるわけです。

そこで、この会社では、次の3つのカテゴリーに分けて、工場を完全に分離するというやり方を取っているのです。

まず、野菜が入荷して、前処理されるところまでを、汚染地域として工場内でも間仕切りをして、土壌菌や昆虫などが次の製造場所に移動しないように工夫しています。従って、ここをローケア(低注意)地域と呼び、そんなに神経質にならないようにしています。また、ここ専用のユニフォームと靴が区別されています。ユニフォームはグリーンの色で識別され、このユニフォームを着ていると、ローケア地域に入室することが可能なのです。

次は、前処理された野菜が、壁を通って次の製造室にコンベアで運ばれます。ここでは、野菜はカットされ、次亜塩素酸(クロリン)の洗浄槽で洗浄され、遠心分離機で脱水されたあと、自動計量機に運ばれて重量が規定量だけ計られます。それが袋詰め機械に送付され、ここで自動包装されるのです。

この段階で、汚染が起こると問題が生じますので、ハイケア(高注意)地域と呼んで、ローケアとは隔絶した製造段階を構築しているのです。この部屋にはいる従業員は、再び靴を履き替えて、ユニフォームも着替えるのです。この部屋に入るときはオレンジ色のユニフォームを着ますので、一目でハイケア製造場にいるということが外からでも識別できるようにしているのです。

最後に、ビニール袋で包装された商品は、再び間仕切りされた次の部屋にコンベヤで送りこまれます。ここでは、商品は既に袋詰めの状態ですから、そんなに神経質になることもありません。つまり、この部屋は、ローケアの部屋となり、グリーンのユニフォームの従業員が働くということになっているのです。

つまり、最初のローケアから、次のハイケアに移り、最後にローケアになるというのを、ユニフォームの色を完全に変えることによって、識別しているのです。

私は、世界各国の食品製造現場を見てきましたが、ここまで、ローとハイを区別している工場を観たのは初めてでした。

さあ、日本の工場でここまでの管理を野菜工場でできるかは、これからの課題ではないかと思いました。

3. エジプト : GSFエジプト

さて、最後は、わがGSFのエジプト工場です。
この配送センターは、なんとあのピラミッドで有名なギザにあり、会社の事務所の窓から、毎日3つのピラミッドを見ながら仕事ができるのです。この工場を訪問する前日、ギザのピラミッドとスフィンクスをみたばかりでした。

ここでは、ピラミッドは食品とは別物であるため、詳しくは述べませんが、とにかく世界七不思議のひとつに数えられるくらいのものですから、その偉容にはほとほと感心をせざるを得ませんでした。

さて、GSFですが、当社は、米国のロサンジェルスに本社を置き、現在は、米国を初めとして、メキシコ、ここシドニー、豪州の西海岸であるパース、東南アジアのマレーシア、クアラルンプールと、カイロにその工場とディストリビューション(配送)センターを置いているのです。

年間売上約2,400億円と、世界の従業員約2,000名、関係国は全世界で60カ国を超えています。

カイロでは、ここギザで配送業務を行うのと同時に、ここから約20分ほど車で走った工業団地に、リキッド(液もの)工場とバンズ(パン)工場があります。
リキッド工場では、ケチャップ、マスタード、シロップ、トッピング、シェイクミックス、サンデーミックス、タルタルソース、ビッグマックソース、マヨネーズ類を製造しており、中東の各国にここから輸出をしているのです。

また、バンズ工場では、FF用にバンズを製造して、それを冷凍し、冷凍バンズとしてやはり、FF各社に配送をしているのです。

ということで、中東における工場見学をしてきたという次第です。

私は、90年に豪州に移動し、92年からシドニーに移り住んできて、それ以降ずっとGSFの工場で働き、13年の歳月を過ごしてきたことになります。納入先も、マクドナルドを皮切りに、有名ファーストフード企業に納入をするようになり、最初は、レタスだけでしたが、ほとんどの野菜を扱うようになり、その間に果物も手がけましたので、その品種も数限りないものとなっております。従って、私もその間、手がけた野菜をQAマネージャーという立場から、ありとあらゆる角度で品質管理、品質保証業務を担当してきました。

その業務実績は、昨年、シドニー研修の旅に参加していただいた方々に実地検証していただいたという経緯がありますので、御存知の方がたも多々おられます。

また、現在、マクドナルドのアジア・パシフィック・中東・アフリカ地域の野菜サプライヤーを集めて、野菜会議を開催しており、その議長役を仰せつかっており、世界の野菜の情報を収集する立場にもあります。

また、ここシドニーでは、ニューサウスウェールズ州のフードオーソリティ(食品局)のアドバイザリー工場担当者という立場で、州政府への意見上申や、政策決定の意見具申などに注力をさせていただいております。

今回、世界の工場を観ることで、また私の視野を拡大することができる機会を持てたことは大変ラッキーだったと思っているところです。

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