世界一蹴の旅

2005年8月19日から9月18日までの31日間にもおよぶ世界一蹴(一周)旅行で体験したこと、感じたことなど、7回に分けて語っています。

  1. アル・マハラ報告
  2. フランス・パリ、ディナーショー3晩連荘
  3. ロンドングルメ三昧
  4. しっかり仕事もやってました!工場訪問!
  5. ビッグマックは世界指標のウソ!
  6. フランスでのバカンスの過ごし方
  7. 世界の食についての考察

その5 : ビッグマックは世界指標のウソ!

私は、日本マクドナルドに18年間勤務しました。従って、マクドナルドの商品を朝、昼、晩と3食取っても食べ飽きることはありません。それほど、マクドナルドバカでありました。私が、マクドナルドを批判するあの映画に出たら、こんなに食べてもピンピンしている、という反対の結果になって世界中のマクドナルドは喜ぶことでしょう!マクドナルドの英雄に祭り上げられるでしょう!

ところでマクドナルドについて皆さんも、既にお聞きになったこともあるでしょう。ビッグマックは世界指標であるということを。

ビッグマックの構成要素を早口ことばでアメリカ・マクドナルドが昔にTVコマーシャルにしたことがあります。

Two all beef paties, special sause, lettuce, cheese, pickles, onions, on a seaseme seed bun!
(トゥーオールビーフパティズ、スペシャルソース、レタス、チーズ、ピクルス、オニオンズ、オン・ア・セサミシード・バン!)

日本でもそれを真似てコマーシャルにしたことがあります!

2枚のビーフに、スペシャルソース、レタス、チーズ、ピクルス、たまねぎ、ごまツキバンズは特別製!

だったと思います。(記憶が定かではありませんが、だいたいこんなものでした)

つまり、現在マクドナルドが存在する世界の国の数は119ヶ国(2005年3月現在)ですから、そこで販売されるビッグマックの価格を世界規模で比較すると、各国の物価の指標がわかるというのです。というのも、早口ことばでもわかるように、国は違っても、ビッグマックの構成要素はまったく変わらないのでその指標になり得る、とどこかの経済学者が言い出した理論でした。

マクドナルドに勤務した私ですら、う~ん!なるほど!とうなずかざるを得ない見事な切り口に、感心したものでした。だから、ビッグマックは物価の世界指標だ、というのです。

そこで私は今回、世界をぐるっと廻ってくるので、これを証明してみようと考えてみたのです。
私が旅の中で、実際に拾い出した、現地でのビッグマック価格をここでご披露して謎解きをしてみましょう!

まず、日本では現在250円で販売されています。これがベースとなりますね。

ここ豪州シドニーでは、3ドル25セントで販売されており、換算すると282円となります。この伝でリストアップしてみましょう!

国:都市名現地価格およその日本円
日本-250円
豪:シドニー3.25ドル282円
米:アルバカーキー2.39ドル277円
米:ロズウェル2.29ドル265円
米:デンバー2.96ドル343円
米:ダラス空港2.69ドル311円
米:ダラス市内2.59ドル300円
伊:ローマ3.00ユーロ419円
仏:パリ3.10ユーロ433円
仏:サントロペ3.10ユーロ433円
英:ロンドン1.99ポンド408円
エ:カイロ8.41ポンド (*)168円
首:ドバイ10.00デ315円
15.00デ (*)473円
印:ムンバイビッグマックは販売されていない
(ビーフは食べられない)

* ビッグマックミール(ビッグマック+ポテト+ドリンク)の値段

ここで興味ある事実があります。インド(印)では、宗教的なことから、牛肉の販売ができないため、ビッグマックが売られていないのです。だから、比較のしようがないのです。ここで、世界指標であるという一角が崩れてしまいました。

御存知のように、インドはその人口を10億人以上抱える、世界でも有数たる人口の多い国です。しかし、ビッグマックが販売されていないため、比較するにもその比較することすらできないのです。つまり、ビッグマックは10億人を無視しているのです。

次に、同じ国においても、店舗の所在位置によってテナント料が変化するため、その価格に差が出てしまうのです。

例えば、米国のダラスでは、空港でビッグマックを買うと311円ですが、市内では300円と、11円の差があります。もし、指標だとすると、同じ都市ならどこで買っても同じ価格のはずですが、同じ地域の中でも差ができてしまうのです。これは、ひとえに空港のテナント料が、市内より格段に高いということを示しており、これでは、比較ができないのです。価格のテナント料は、価格に表示はされてないので、いくらか判断はできません。

また、今度は反対に、フランスのパリとサントロペでは、価格が同じで433円となりますが、御存知の通りパリは、世界でも飛びぬけて物価の高い都市として有名です。もし、その物価が価格に反映されているなら、パリとサントロペでは価格差があってしかるべきです。しかし、この事実は、推定ですが、フランスマクドナルドは、全国統一価格で販売しており、パリでも地方都市でも同じ価格政策をとっていると考えられます。だから、指標とならないのです。

また、エジプト・カイロでは、ビッグマック価格のみが出ておらず仕方なしに、ビッグマックミールの価格を載せました。ところが、ビッグマックミールとは、ビッグマックにポテトとコーラ類がついての価格です。従って、出店場所によって違いますが、ビッグマック価格の1.5~2倍がミールの総価格となるのです。

しかし、カイロのその価格の安さは、168円と他国とは比較にならないほど安価なのです。多分、ビッグマックだけだと、80円から100円となるでしょう。

つまり、エジプトでは、これだけの安価なマクドナルドが楽しめるということなのですが、エジプトで、顧客が長蛇の列をなしているかというと、実はその反対なのでした。つまり、カイロでは、これよりもずっと量の多いその地方の食事が、もっと安価で販売されているのです。だから、日本や豪州からみると、破格に安いと感じるビッグマックも、現地では、あまりにも高すぎるのです。

次に、考慮に入れなければならないものとして、為替の変動があります。上の価格の日本円は、2005年10月の為替レートで計算してあります。

ところが、例えば、ここには入れてありませんが、以前ブラジルでは、年間千パーセントというインフレに見舞われたというようなことがありました。そんな時期では、この価格は、一時間ごとに変化せざるを得ないのです。だから、この価格はウソっぽくなってしまうことは、容易に理解できるでしょう!

また、同じビッグマックミールにしても、カイロの168円とドバイの473円では、余りにも差がありすぎて、比較しようにも比較にならないのです。ところが、ドバイでは、マクドナルドには長蛇の列をみることができました。つまり、ドバイではマクドナルド価格は、他の料理に比べてかなり安価に設定されていて、顧客がそれにヴァリューを感じているから繁盛していると考えられます。

同様に、インドでは、カイロと同じくマクドナルドは閑散としていました。10年間の営業であるにも関わらず、その総数はたったの70店舗です。単純に10年間で割ってみると、一年間にたった7店舗ずつしか増加していないのです。人口が10億人も居ての話ですよ!

つまり、インドではマクドナルドの価値というのは、そんなに高くないということがこの数字だけをみても判ります。

ここで結論を言います。ビッグマックは物価の世界指標であるという、誰かの推論は単なる机上の空論で、実際に私のように世界を歩き回ってその中から導き出されたものではないということです。

つまり、ビッグマックは世界指標だ、というのはウソだということが判明してしまったのです!

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